JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

オリエント考古美術の話(1) ペルシャ古代文物展示ケース 
Antiquities of Ancient Persia

 インターメディアテクでは古代エジプトをふくめ、いわゆるオリエント地域の考古美術品をいくつか展示している。比較的まとまっているのが、3階COLONNADE 3にならぶ古代イランにかかわる標本群である(写真)。多くは、江上波夫(1906-2002)名誉教授が収集したもので、江上コレクションと呼ばれている。江上教授はユーラシア各地で半世紀以上もの間、考古学調査を続けたフィールドワーカーだっただけでなく、無類のコレクターであった。集められた標本は途方もない量におよぶが、総合研究博物館は教授が1965年の東京大学退官までにおこなった発掘調査の出土品のほとんど全てと、私的収集品の一部を保管している。後者は教授の没後、御遺族から寄贈されたもので、インターメディアテクの展示品はその一部、および関連する標本ということになる。イランは、江上教授が1956年、第2次大戦後の日本人による海外学術調査の口火を切られた国であり、その後も、幾度となく足を運び、資料収集を続けられた縁の地である。現在、展示中の作品のいくつかについて思うところを、不定期になるとは思うが、このコラムで書いてみたい。
●写真1 COLONNADEの古代ペルシャ考古美術展示ケース

西秋良宏(インターメディアテク館長・東京大学総合研究博物館館長/教授)
Yoshihiro Nishiaki

コラム一覧に戻る