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HAGAKI
研究者コラム

オオタカ
Goshawk

 オオタカ。この写真は成鳥で、暗灰色の背中と真っ白な下面のコントラストが美しい。胸から腹には細かい横斑があるが、遠目には見えない。先日、鳥を見つつ散歩に行った際、カラスくらいの鳥が飛んで来てアンテナに止まるのが見えた。翼をピンと伸ばしたまま羽ばたく姿に「これは!」と思ったら、まさにオオタカだった。止まったオオタカにハシブトガラスが猛然と突っ込んでくる。天敵であるオオタカが縄張り内にいるのが許せないのだろう。こういう時、猛禽はだいたい面倒そうに逃げる。彼らはカラスと戦っても益がないからだ。だが今回は違った。絡みに来たカラスに向かってオオタカが反撃したのである。おそらくオオタカもこの辺りで繁殖する気なのだ。この後、一撃をかわしたカラスはオオタカを追って上昇するも振り切られ、上からもう一撃くらいそうになって逃げて行った。強気なカラスとはいえ、いわば戦闘機として進化したタカ相手に空中戦を挑んでも勝ち目はない。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)
Hajime Matsubara

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