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HAGAKI
研究者コラム

仮住まい

 ここにいるアオボウシインコは、仮住まいの身だ。本来は台座と台木があったのだが、他の剥製に流用してしまったからである。鳥の剥製は足の中に針金が通っており、足の裏から下に針金が突き出している。これを台木に開けた穴に通し、針金の先を枝の裏側で曲げて固定する。逆に、この針金を伸ばしてやれば、剥製は台木から引き抜けるのである。さて、問題は残った剥製の処遇だ。足の裏に針金が出ているので、そのまま立たせることはできない。第一、剥製の足指は枝を軽く握る形に整えられており、きちんと立つように作られていない。さらに、尾羽が下方に突き出すため、平面に置こうとすると尾羽がつっかえる。さりとて寝かせておくと羽毛が傷みがちだ。ということで、このようにポリスチレンや発泡スチロールのブロックに針金を突き刺して仮置きしておくことがある。本当はいい台を見つけてやるべきなのだろうが、これはこれでコンパクトで扱いやすいので、今日もそのままである。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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