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HAGAKI
研究者コラム

北欧カラス事情

 先日訪れたスウェーデンで見かけたカラスは3種。日本のハシボソガラスに近縁だが白黒模様のズキンガラス、日本でも冬になると大陸から渡来するミヤマガラス、そして向こうの街なかで目に付くのがニシコクマルガラスだ。ニシコクマルガラスは最新の分類ではカラス属(Corvus属)ではなくColoeus属とされているが、概ねカラスと思って間違いない。東京によくいるハシブトガラスと違い、ハトくらいの大きさなので、威圧感はない。色も真っ黒ではない。集団生活しており、公園や街の広場によく群れている。そして、人が座って何か食べ始めると、目ざとく見つけて意味ありげに近寄ってくる。ニシコクマルガラスは虹彩が白銀色なので、瞳が非常に目立つ。これは集団内でのアイコンタクトを容易にし、ある個体が見ている対象を回りに伝えているのではないかと示唆されている。そのせいか、彼らが隣のテーブルに止まってこちらの一挙手一投足をじっと見ていると、妙に落ち着かないのである。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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