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特別公開『神々の食物との出会い』

2024.04.17-
COLONNADE2

 エクアドル南東部の熱帯雨林地帯にあるサンタ・アナ・ラ・フロリダ遺跡で、カカオのでんぷんなどが検出された人面象形あぶみ型ボトルが発見されました。この遺跡では、約5300年前からカカオが利用されていた痕跡があり、世界最古のカカオ飲食の可能性を示すものとして注目されています。
駐日エクアドル大使館から東京大学総合研究博物館へ、この古代土器のレプリカが寄贈されました。これを記念して、特別公開を行います。
 カカオの学名はテオブロマ・カカオ。属名のテオブロマはラテン語で「神の食物」を意味します。カカオの利用は、これまでメソアメリカが最古とされてきましたが、サンタ・アナ・ラ・フロリダ遺跡での発見により、南米アマゾンでより古くからカカオが利用・栽培されていた可能性が示されました。
 今回寄贈されたボトルは、両側に表情の異なる顔がついたユニークなものです。顔の周りの突起は、エクアドル沖でとれるスポンディスル貝を表現していると言われています。スポンディスル貝は、アンデス文明の儀礼・祭祀において非常に重要視されていました。海岸部でとれるスポンディスル貝を模したボトルに、アマゾン地帯の産物であるカカオの飲料の痕跡が見つかったことは、この遺跡に住んでいた人々が、アンデス・アマゾンの両方の地域と密接な交流を行なっていたことを示唆しています。
 サンタ・アナ・ラ・フロリダ遺跡では、他にも、ターコイズやアマゾナイトでつくられた装飾品や、精巧な石製容器など、古代の人々の生活を知る上で重要な遺物が数多く見つかっています。

主催:東京大学総合研究博物館

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