JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

化石の記憶
The Memory of the Fossil

 インターメディアテクの2F、骨の並ぶ壁際のケースを辿って行くと、貝類を収めた斜めケースがある。の上に、分厚いガラスで挟んだ古い写真が展示されている。これは東京帝国大学時代の教室や列品場を撮影したものだ。列品場とは各部門が持っていたミニ展示室である。かつては神田に大学の博物場があったのだが、残念ながら関東大震災によって消滅した。写真にある博物場はその後のもの、おそらく昭和初期の姿であろう。さて、その中に地質学教室列品室の写真があり、多くの化石が写っている。ひときわ目をひくのが大きく湾曲した何かーー形状からしておそらくゾウの牙である。細長い木製台座と3本の支柱で支えられている。さて、この写真を見たあと、顔を上げて正面を見て頂きたい。大地球儀の後ろに、まさにその標本が展示してある。マンモスの牙の化石であることは判明しているが、残念ながらそれ以上は未詳である。

松原始
Hajime Matsubara

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