2017.04.01-2018.03.31
小・中学生の皆さまへ
アカデミック・アドベンチャーでは、IMTボランティアの大学生が「インターメディエイト」(=媒介者)として、皆さんのアドベンチャーの案内役を務めます。IMTボランティアは、東京近郊のさまざまな大学に所属し、それぞれの専門分野の勉学や研究を行いながら、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」の活動をお手伝いしています。
私たちIMTボランティアがアドベンチャーの内容をご紹介いたします。
横山喜己(武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻日本画コース2年)
美術館や博物館と聞くと、文化的で少し難しい場所だと考える人が多いかもしれません。インターメディアテクに来てくれた小中学生には、そんな印象を取り払って、インターメディアテクというミュージアムを身近に感じながら楽しんでもらおうと考えています。アカデミック・アドベンチャーでは、はじめに展示物の見方についてアドバイスをします。それは、展示物の横に貼られているキャプション(文字情報)を読まずに、物自体を観察して想像をふくらませること、物を観るときに「観察」と「自分の考えや想像を大切にする」ことを体験してほしいからです。最近、私がアカデミック・アドベンチャーでとりあげているのは100年ほど前に東京大学理学部で使われていたエレベーターです。観察やクイズを経て、現在使われているエレベーターと何が違うのか、歴史あるものの魅力と、今までとこれからの生活の移り変わりを皆さんといっしょに考えていきます。
磯部翠(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻物理科学領域 博士後期課程1年)
アカデミック・アドベンチャーでは、皆さんに「自分の目で見て、よく考える」ようにお願いしています。展示物に関する情報はいつでもどこでもインターネットで調べたらすぐに得られる時代ですが、展示物を目の前にしてじっくり観察し、考える経験はその時、その場でしか得られないものです。私のアドベンチャーでは、皆さんは展示物の観察を足がかりにして対話をし、その展示物をめぐって私の視点から考えたことを共有したいと思います。見て明らかなこと、考えてみれば当たり前のことも、言葉にしてみるとまた違った発見に繋がることがあります。グループでの対話を通して、ミュージアムの楽しみかたを広げる機会となります。
伏見有加(2016年度:慶應義塾大学商学部 卒業)
私がアカデミック・アドベンチャーで取り上げているのは、最も私たちに身近な鳥ともいえるであろう、カラスです。多くの現代の日本人にとっては、カラスは「少しの対策程度では、ものともせずゴミを漁る」、「繁殖期には近くを通る人に威嚇し、危害を与えることもある」鳥としての認識が強いと思います。その一方、カラスはその賢さから、大昔より人間とのかかわりが深い鳥であることはあまり知られていないかもしれません。インターメディアテクには、館内の階段を昇った先に、たくさんの鳥が並んでいるケースがあり、その中にカラスもいます。私のアドベンチャーでは、たくさんの種類の鳥の中から特にカラスを観察し、カラスと人との長い関係を象徴する、特徴的なエピソードをいくつかお話しします。そこから、普段は特別には意識することのないカラスの新しい側面を発見し、他の「近すぎるあまり、あまり知らないもの」についても考えていけるような体験をしてもらいたいと考えています。
庄司悟(東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系自然環境学専攻 修士1年)
博物館には様々な資料が展示されています。展示物を見て、それに対し何かを感じたり考えたりすることは大事です。そこからもう一歩踏み込んで、私は皆さんに展示と自分自身との間に関係を見つけてほしいと考えています。アカデミック・アドベンチャーで私が取り上げているのはサンゴです。このアドベンチャーでは、普段は目にしない標本を色や形に注目して観察していきます。観察すると、いろいろな疑問が出てくるはずです。その疑問について皆さんと一緒に考えながら、サンゴと私たちの関わりを探っていきます。展示物の中には、一見、自分とは何の関係もなさそうなものもありますが、少し立ち止まって見てみてください。もしかしたらその展示物に自分との関わりを発見できるかもしれません。そのように関係を探しつつ展示を見ていくと、博物館がもっとおもしろくなると思います。
能繭子(学習院大学法学部政治学科3年)
私がアカデミック・アドベンチャーでテーマとしているのは「物事の見方」です。インターメディアテクでは、珍しい骨の標本から皆さんの身近に落ちているような石まで、全てが「展示物」として生きています。一見しただけではわからない、何故これがここにあるのかという疑問は、展示物を観察・鑑賞する上での大切な疑問です。私たちはアカデミック・アドベンチャーのなかで、その疑問を深めたり、解決したりするお手伝いをしていきます。私がアドベンチャーの対象として選んだのは「黄鉄鉱」です。はじめは黄鉄鉱という名前を出さずに、形や色のヒントから皆さんにそれを探してもらいます。同じ条件で探していても、これだと思う石は人それぞれで、私自身が驚くような発見に学ばせてもらうことがあります。インターメディアテクに足を運んでくれた皆さんと一緒に楽しみながら、対話を通じて、「物事の見方」を考えるお手伝いをしていけたらと思っています。ぜひ一緒にアカデミック・アドベンチャーに出かけましょう。