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IMAGINARIA――映像博物学の実験室

2011.02.18-2011.02.27
小石川分館

  小石川分館という類まれな建築空間を舞台として、映像博物学の実験展示を試行した展示。研究者・学芸員・学生や映像作家らによって制作されたさまざまな映像は、ひとつのスクリーンで集約上映されるのではなく、建築空間の随所に形を変えて埋め込まれた。「驚異の部屋」を企図した既存の展示空間において、映像は標本資料と共存しつつ、並置・重層・代替・包含・透過・反射などの効果を生み出し、時に内部空間を飛び出して外部環境に結像した。本展示は、映像の時空間を重ね合わせることで新たな博物空間を創出する試みとなった。


 IMAGINARIA ――映像博物学の実験室
  東京大学総合研究博物館の小石川分館は、本学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)の広大な緑地に臨む恵まれた場所に位置し、東京大学の研究教育で使われてきた様々な学術標本や研究器材を展示しています。重要文化財である施設建物および植物園の外部空間において、このたび映像を活用した実験展示を行います。研究者・学芸員・学生や映像作家らによって制作された様々な映像作品が、建築空間の各所に埋め込まれます。IMAGINARIAとは、実在物と映像が共存する「イメージの融合空間」であり、博物表現と時空間造形の可能性を探求する実験室が出現します。

■展示趣旨
 映像博物学の実験室 ――映像の時空間を博物館にかさねる
  20世紀は映像の世紀であったといわれる。19世紀以降、写真、映画、テレビ、インターネットが生まれ、視覚情報の生産と流通は劇的に増大した。社会の出来事や物語がおびただしい映像断片に記録され、世界は映像を介して理解される対象になっている。対して、博物館はもっぱら標本資料の収集蓄積によって世界を記録してきた。モノの世界である博物館において、映像はそもそも疎遠な対象であるか、補助的な演出術と見なされがちである。しかし、宇宙規模に拡大する事象を記録する手段として、また近代以降の人間活動の研究対象そのものとして、映像は極めて重要なメディアである。すなわち、映像技術を活用した博物学と、映像自体から世界を探求する博物学がともに立てられるべきである。これらまとめて「映像博物学」と呼ぶことにしよう。
  近代博物学が目指したのが、世界の諸物の分類表(タブロー)を築くことであるならば、映像博物学が志向するのは、それら諸物の動的な関係網(ネットワーク)を示すことである。対象から切り捨てられる時空間を映像によって再現=代行し、「人間と世界」の多様な関係性を問い直すことに期待がかかる。すなわち、映像博物学は、「人間が世界を見る」という知の根底を映像によって再編する試みである。世界の事物事象を映像資源として蓄積し、人間がそれと向き合う時空間の仕組を設営することが求められる。
  本展示では、総合研究博物館小石川分館という類まれな建築空間を舞台として、映像博物学の実験展示を試行する。研究者・学芸員・学生や映像作家らによって制作されたさまざまな映像は、一つのスクリーンで集約上映されるのではなく、建築空間の随所に形を変えて埋め込まれる。「驚異の部屋」を企図した既存の展示空間において、映像は標本資料と共存しつつ、並置・重層・代替・包含・透過・反射などの効果を生み出し、時に内部空間を飛び出して外部環境に結像する。本展示は、映像の時空間を重ね合わせることで新たな博物空間を創出するささやかな試みである。

主催: 東京大学総合研究博物館
会場: 東京大学総合研究博物館小石川分館
     東京都文京区白山3-7-1
(地下鉄丸ノ内線「茗荷谷」駅より徒歩8分) 
開催期間: 2月18日(金)~2月27日(日)、 開催期間中の休館日は2月21日(月)および22日(火)
開館時間: 13時~19時30分(入館は19時まで)、外部映像投影は17時30分~19時30分、入場無料
臨時休館: 2月11日(金)、12日(土)、13日(日)、17日(木)は展示準備のため臨時休館

■展示内容
  東京大学総合研究博物館の研究/教育活動の一環として学術標本・展示空間・イベントなどを撮影した映像作品、および学外の博物館・美術館から提供された映像作品、映像作家や研究者や学生が制作した映像作品を、小石川分館で上映する。重要文化財の施設空間および既存展示「驚異の部屋」の雰囲気を活かしつつ、複数の大小プロジェクタを使用して施設の内部空間および植物園の外部空間で映像投影を行う。期間中はさまざまなイベントを並行開催する。

1)上映作品
・映像博物学Ⅰ: 総合研究博物館の学術標本の映像、博物館教員の映像作品
・映像博物学Ⅱ: 総合研究博物館の教育プログラム(学芸員専修コースおよび博物館工学ゼミ)の課題作品
・映像博物学Ⅲ: 他の博物館・美術館、学術研究組織、映像作家らから提供された映像作品
・映像博物学Ⅳ: 東京をテーマにした4大学国際ワークショップの映像作品(SCI-Arc、法政大、慶應大、東京大)

2)上映場所
・小石川分館外壁: Façade、本展示の主な映像作品をエントランス外壁に投影
・1階北展示室: Foro、歴史的建造物の展示室で東京の都市イメージを投影
・1階南展示室: Global Memory、地球儀に世界各地の写真画像を投影
・2階解剖学の部屋: Anatomia、学芸員専修コースの映像作品、他の博物館等から提供された映像作品を投影
・2階廊下: Fabrica、10枚の薄布を映像で射抜くように投影
・中央階段: Scala、階段踊場壁面に博物館工学ゼミ学生が制作した映像作品を投影
・2階標本展示室: Camera、博物館教員やゲストの映像作品、他の博物館等から提供された映像作品を投影
・2階最奥展示室: Imaginaria, Dome、直径1Mの半球鏡を床に置き、2台のプロジェクタで部屋中に反射投影
・植物園庭園: Imaginaria, Garden、小石川植物園の夜の庭園に動物や植物の映像を投影(17:30-19:30)
・展示室各所: Micro projections、超小型プロジェクタで各種の映像を投影。投影歩行のイベントも

3)イベント (日程・内容は変更されることがあります)
・2月18日(金) 17:30  オープニング・セレモニー: 映像上映、主催者挨拶等 (開場は13:00)、18:30  オープニング・ダイアログ: 「映像・記憶・表現――20年の空白のあとに」西嶋憲生(映像評論家)×西野嘉章(東京大学総合研究博物館館長)
・2月19日(土) 18:00  プロジェクション・ウォーク(投影歩行イベント)
・2月20日(日) 18:00  ディスカッション:博物館・美術館の学芸員による発表と討論
・2月23日(水) 18:00  公開ゼミⅠ(総合研究博物館・空間ゼミ)
・2月24日(木) 16:00  映像博物学講義、18:00 プロジェクション・ウォーク
・2月25日(金) 18:00  公開ゼミⅡ(総合研究博物館・映像ゼミ)
・2月26日(土) 16:00  映像博物学講義、18:00  プロジェクション・ウォーク
・2月27日(日) 18:00  クロージング・イベント(未定)

■展示協力
多摩六都科学館
大阪市立自然史博物館
福井市自然史博物館
日本動物行動学会
動物行動の映像データベース
東京大学大学院理学系研究科附属植物園  

特別協賛
エプソン販売株式会社

空間・展示デザイン©UMUT works 2011

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