JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

蓄音機音楽会『ジャズ大集成(サミット)(48)――カラー・ライン』

2018.03.30
ACADEMIA

日時 2018年3月30日(金)18:00(終了予定時間19:15)
場所 インターメディアテク2階ACADEMIA(レクチャーシアター)
参加費 無料(事前予約不要)
席数 48席(先着順)*席に限りがありますので予めご了承ください。
主催 東京大学総合研究博物館
協力 梅田英喜+マック杉崎
企画構成 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門


 インターメディアテク内階段教室「ACADEMIA」にて、蓄音機音楽会を定期的に開催しております。「湯瀬哲コレクション」から1920—1940年代ジャズの名盤を厳選し、名機E.M.G.社「マークIX」をはじめとする様々な蓄音機で再生し、今やパブリックな場では鑑賞できない音の醍醐味を共有する機会を設けます。
 「待ってくれ、君はまだ何も聴いてないんだぜ」。この名台詞をもってトーキーの出発点となり、早くも映画界にジャズを導入した映画『ジャズ・シンガー』(1927年)。しかし主人公を演じたアル・ジョルソンは白人俳優で、ブラックフェースでジャズ歌手を演じました。その十年前に吹き込まれた初のジャズ・レコードもやはり白人バンドによる演奏でした。ジャズが米国文化の基軸になりつつあったのにも関わらず、当初、その代表者たちは「人種の境界線」によってスタジオへのアクセスが限られていたのです。ここでは、1917年のODJBのレコードからSP盤最晩年の1950年代まで網羅し、曲のテーマ、バンド構成、レーベルの経営、ジャズマンの政治的方針という様々な観点から、白人と黒人を隔てた「カラー・ライン」の音楽史を振り返ります。


蓄音機音楽会シリーズについて

 「言葉をしまって置く機械」、「写話器機」、「蘇定機」、「蘇音器」― 音を録音し、それを無限に再生する仕組みが発明されてから、それが普及し、「蓄音機」という名称が定着するまで数十年かかりました。発明当時の人々は、音を発するこの謎の家具に関心を持ち、時には恐怖に襲われるほど当惑したといわれています。しかし、LPレコード、CD、そしてデジタルファイルの普及とともに、蓄音機は廃れ、ミュージアム等に残っているものはただの展示品となっています。本音楽会は、蓄音機を再生装置として再び活用し、機械がもつ本来の可能性を新たに味わうことを目的とします。
 東京大学総合研究博物館は様々な蓄音機を所蔵しています。音楽会では、蓄音機を用いて、レコードをはじめとする様々な音楽記録媒体を再生します。その中で最も貴重な音源が、2012年に総合研究博物館に寄贈された「湯瀬哲コレクション」です。ジャズを中心としたこの個人レコードコレクションには、一万枚のSP盤が含まれています。湯瀬氏が生涯に亘って形成したコレクションを最高級の蓄音機で再生することによって、希少な名盤を紹介すると同時に、デジタル時代とともに失われた「音」の厚みと奥行きを改めて共有したいと思います。アイポッドの時代に、インターメディアテクの階段教室に集まり、昔ながらの音楽会を体験することによって、ミュージアムを「共感覚」の場に転換する企画となるでしょう。

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