JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク


特別展示『インターメディアテク建設』

2013.03.21-2015.11.23
GREY CUBE

 「インターメディアテク」(IMT)の開設された旧東京中央郵便局舎は、逓信省経理局営繕課の建築家吉田鉄郎の設計になる。関東大震災後の帝都復興事業のシンボルとなった5階層の建物で、昭和6(1931)年に竣工した。のちに、昭和初期のモダニズム美学の粋を集めた建物としての評価を獲得する。戦前に日本を訪れ、京都桂離宮の伝統美に魅了されたドイツ人建築家ブルーノ・タウトは、旧郵便局舎を日本の新建築の最高峰に位置するものとして賞賛した。
 吉田は昭和8(1932)年の『逓信協会雑誌』に次のような文章を寄せている。「現代建築の様式は、個々の建築の機能、材料、構造等から必然的に生ずる建築形態を最も簡明に表現することにより定まる。本庁舎においても、鉄骨鉄筋コンクリート構造法を利用して窓面積をできるだけ大きくし、無意味な表面装飾を廃し、純白の壁面と純黒の枠をもった大窓との対照によりて、明快にして清楚な現代建築を求めることに苦心した。・・・・・・室内意匠においても、また外観と同様に形態と色調の単一を計った」。
 展示室に生まれ変わった2階・3階の大空間は、もともと郵便集配の業務に使われていた場所で、日本の伝統建築と通底する、単純にして明晰なヴィジョンを各部に留めている。古い建物を別な用途に転用するとは、歴史遺産の「転生」を図ることである。持続可能な都市運営を実現するには、過去の建築遺産をどのように継承していったら良いのかが問われる。「インターメディアテク」は、その問いに対するわれわれの答えに他ならない。
 旧郵便局舎を再生させるにあたり、われわれは長さ66メートル、幅12メートル、階高5.5メートルに及ぶ大空間をそのまま生かすことにした。都心部ではもはや得がたい単一空間であり、欧米の主要ミュージアムの大展示室と比肩し得る容積をもつ。大空間を細分化せず、そのまま生かす。そのこと自体に意義がある。この歴史性を帯びた大空間は、多様な表現メディアの融合を促すためのプラットフォームとなる。内部空間を画定する骨組みは存続し、郵政事業の歴史が刻まれた木製床材も保存部の一部に「継承」された。古い鋼鉄製窓枠の一部はフレームなどの展示具に「転生」し、他の建築部材もまた、一部ではあるが、施設空間のなかに埋め込まれている。
 われわれの「インターメディアテク」は、歴史遺産の「転生」と「継承」の上に建つ。

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