JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

特別公開『幻人紀行 – ユウラシア蒐集録』〈会期延長〉

2023.06.27-2023.11.19
MODULE

会期 2023年6月27日 – 10月29日
会期延長 2023年11月19日まで

 インターメディアテク常設展示で公開中の古代史標本、特に西アジアの文物には、江上波夫教授(1906−2002)の収集資料が随所に含まれている。江上教授は、本学で東洋史学を修めた後、1930年代から海外調査を開始し、実に半世紀以上もの間、ユーラシア各地でフィールドワークと標本収集を繰りひろげた希代の古代史学者であった。成果の一部は日本列島の国家の起源がユーラシア大陸の騎馬民族にあるという騎馬民族征服王朝説の提唱や、戦後に隆盛した日本人による海外学術調査の礎を築いたことなどに結実し、文化勲章の授章(1991年)にもつながった。
 東京大学総合研究博物館は江上教授が東京大学退官(1965年、後に名誉教授)までに収集した数十万点の海外発掘品のほぼ全てを保管し、かつ、没後、御遺族から寄贈された一部の愛蔵品を収蔵している。今回、インターメディアテク開館十周年記念事業の一環として、1930年代から50年代にかけて教授が指揮した初期の海外学術調査による収集品を公開し、そのユーラシア古代史研究の原点を探ることとした。
 最初の調査は、古代西アジアで生まれたキリスト教と東アジアの仏教、さらには、中国の王権と中央アジア遊牧民との関係等、東西アジアの文化が交錯した物証を密にとどめる内モンゴル(現中国内蒙古自治区)、オロンスム遺跡の研究であった。その際の収集資料は、文献史学と考古学、民族学などを組み合わせた総合的手法を旨とした江上教授のアプローチをよく示している。
 江上教授は、自らを雅号で幻人と名乗っていた。幻人とは、古代の西アジアにいた奇術師、つまり人を惑わすパフォーマーをさす中国語である。東アジアに始まり西アジアまでをまたにかけたユーラシア調査を繰りひろげ、それに基づく大胆な仮説の提示によって研究者のみならず世間をも魅了した教授には実にふさわしい。そのオマージュとして本公開展示のタイトルとした。

主催:東京大学総合研究博物館

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