JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

特別展示『PHOTO LOGIC ― 田中良知 ✕ IMT』

2022.07.26-2022.09.25
GREY CUBE+SPECOLA

 写真は時間の一瞬を切り取るもの。それは単に情報であり、記録でありながらも、時には人々の大切な思い出にもなり、時代や自分自身をリアルに客観視できる稀なモノでもある。田中良知の40年に及ぶ写真活動は、「資性を写す」を信条に、被写体となる人物の飾らない表情を「記録」すること。これまでの活動において、子どもから長老、職人、俳優、アーティストに至る多様な人物の自然体の姿を捉えることは、その人物の本質、あるいは人間の本質の一片を垣間見る瞬間でもある。
 いまや写真は、誰もが手軽に質の良い写真を撮ることができるようになり、それをwebサイトやSNSにあげれば、世界中の人々に向けて自己を表現することのできるコミュニケーションツールとなった。個人の趣味からプロの仕事まで、その領域は曖昧かつ広範に、そして仮想空間へと収納されていく。今日に至るそういった状況を生み出した背景には、デジタルカメラの出現とITの技術革新がある。とくにデジタルカメラが起こした変革とは、「誰もが躊躇なくシャッターを切ることができる」ことである。そんな手軽さが人々のカメラや写真に対する距離を一気に縮めてしまったのだ。そんな時代であるからこそ、プロの写真とは何か、何が違うのか、撮影テクニックとその哲学を展開する。
 本展では、インターメディアテクの展示空間および学術標本とともに人物を撮影した作品と、自身の代表作「SUPER OLD」のほか、未発表作品を含む約30点を展示、本展図録には約50点を収録する。また、展示室内にプロの機材をセットした「撮影スタジオ」を併設して、田中良知による主に子どもを対象とした撮影イベントを複数回実施する。
 閉塞感漂う世の中にあって、ようやく人とのコミュニケーションは回復の兆しをみせつつある。他人はもちろん、職場や知人に対しても距離を置かなくてはならない状況や心理状態から解放される。それはミュージアムでの作品やモノと接する場面でもしかり。そのような状況下で、人と人、人とモノとがコミュニケーションできるミュージアムを舞台に、写真という媒体を介した親和性の再見となれば幸いである。

主催 東京大学総合研究博物館

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