JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

【デジタル配信】蓄音機音楽会『バードの肖像』

2020.08.29-
DIGITAL

主催 東京大学総合研究博物館
企画構成 大澤啓(東京大学総合研究博物館)
協力 梅田英喜+マック杉崎

 今年、ジャズの天才児チャーリー・パーカー(1920-1955年)が生誕百年を迎えました。革命的な演奏で20世紀の音楽を刷新し、破天荒な生涯で決定的なジャズミュージシャン像を築いたパーカーの記憶は、当時の批評や関係者の証言もあって、伝説に包まれてきました。百年という節目にパーカーの作品と客観的に対峙し、最新の研究を念頭に、パーカーが残した録音に再度耳を傾ける機会を設けます。インターメディアテクに所蔵されている「湯瀬哲コレクション」のSP盤から、チャーリー・パーカーが吹き込んだ150面余りの盤を全点年代順に並べ、蓄音機で再生する新シリーズを配信します。

【使用蓄音機】英国製E.M.G.社マークIX(1932年)


1. カンザスシティからニューヨークへ

 カンザスシティのピアニストであったジェイ・マクシャンのバンドでスタジオ・キャリアを開始したチャーリー・パーカーは、1944年秋にジャズ・クラブが建ち並ぶニューヨーク52丁目に拠点を移します。パーカーはニューヨークでサイドマンとしてジャズ・コンボの録音セッションに加わり、自身の楽曲を提供しながら独自の奏法を確立していきます。この第一回では、マクシャンとのデビュー録音から1945年初頭のセッションまで、サイドマンとしてのパーカーの形成期を振り返ります。



●プログラムをダウンロード



蓄音機音楽会シリーズについて
 「言葉をしまって置く機械」、「写話器機」、「蘇定機」、「蘇音器」― 音を録音し、それを無限に再生する仕組みが発明されてから、それが普及し、「蓄音機」という名称が定着するまで数十年かかりました。発明当時の人々は、音を発するこの謎の家具に関心を持ち、時には恐怖に襲われるほど当惑したといわれています。しかし、LPレコード、CD、そしてデジタルファイルの普及とともに、蓄音機は廃れ、ミュージアム等に残っているものはただの展示品となっています。本音楽会は、蓄音機を再生装置として再び活用し、機械がもつ本来の可能性を新たに味わうことを目的とします。
 東京大学総合研究博物館は様々な蓄音機を所蔵しています。音楽会では、蓄音機を用いて、レコードをはじめとする様々な音楽記録媒体を再生します。その中で最も貴重な音源が、2012年に総合研究博物館に寄贈された「湯瀬哲コレクション」です。ジャズを中心としたこの個人レコードコレクションには、一万枚のSP盤が含まれています。湯瀬氏が生涯に亘って形成したコレクションを最高級の蓄音機で再生することによって、希少な名盤を紹介すると同時に、デジタル時代とともに失われた「音」の厚みと奥行きを改めて共有したいと思います。ストリーミングの時代に、インターメディアテクの階段教室に集まり、昔ながらの音楽会を体験することによって、ミュージアムを「共感覚」の場に転換する企画となるでしょう。

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