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東京大学=ヴュルツブルク大学連携特別展示『レントゲン――新種の光線について』

2020.06.24-
FIRST SIGHT

PDF版展覧会図録を公開しています。

 このたび東京大学はユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク(ヴュルツブルク大学)と連携し、レントゲンのX線発見125年を記念した特別展示を開催することになりました。この特別展示は東京大学総合研究博物館が「博物誌シリーズ」として展開している連続特別展示の6回目に当たります。
 物理学者ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(1845−1923)は、1845年、旧プロイセン王国ライン州のレネップに生まれています。よく知られるように、長い間、医療の現場では、X線撮影が「レントゲン」と呼ばれていました。個人名が普通名詞として使用されるに至ったことを見てもわかる通り、百年以上も前にレントゲンが存在に気づいたX線は、学術研究や社会生活の場で利用価値の高いものだったのです。
 1888年、レントゲンはヴュルツブルク大学の物理学正教授のポストに就いています。その後も、英国人理論物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェル(1831−1879)の電磁理論を裏付ける変位電流現象を発見するなど、レントゲンは数々の業績を残し、その功績が認められ1894年に同大学の学長に就任しています。
 個体や液体に圧力を加えると、物性はどのように変化するか。その関心から、減圧された気体のなかを流れる陰極線に着目し、学長就任の翌年10月から「真空ガラス管」の実験を始めています。その翌月というごく短期間に、それまで知られることのなかった不思議な放射線の存在に気づくことになりました。レントゲンは、「未知」のものであるという意味で、その放射線を「X(エックス)線」と名づけ、それに関する予備ノート「新種の放射線について(Eine neue Art von Strahlen)」を、1895年12月28日付でヴュルツブルク物理医学会に送付したのです。
 X線の発見により、人類はそれまで見たこともない世界を眼にするようになりました。レントゲンの発見が科学知を飛躍的に拡大させたのです。レントゲンは、X線が存在することを、人の手を撮影した写真や公開での実演で証明してみせたと言われます。実験の分かり易さが幸いし、様々な学術分野に応用可能であることがすぐに伝わり、多方面での活用につながったのです。レントゲンが1901年に第一回ノーベル物理学賞の栄誉に輝いたのは、当然のことだったのです。
 レントゲンの科学的精神を顕示する人間性と学術的成果に関する、ヴュルツブルク大学所蔵の貴重資料の紹介は、今回が初めてのことになります。基礎科学を取り巻く研究基盤の劣化が危惧される今日、学術研究と社会生活の両方に瞠目すべき地殻変動をもたらした科学的発見の再検証は、時機を得たものと考えられます。

主催 東京大学総合研究博物館+ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク・大学アーカイブズ
協力 ドイツ物理学会+ドイツ・レントゲン博物館(レムシャイト)+東京大学駒場博物館

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