JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
テスト公開中

宮中下賜品紋入ボンボニエール

銀製/田中儀一旧蔵品

概要

フランス語で「小型のキャンディー缶やつぼ」を意味するボンボニエール(bonbonniere)に由来する金工品。結婚式や宗教的なお祝いの儀式等の特別な機会に招待客に振る舞うプレゼントとして知られる。日本でも皇室がそのようなヨーロッパの伝統を引き継ぎ、皇室御慶事の引き出物として菊花紋を入れ、使うようになったと言われる。銀は明治20年代の国際社会の中で紙幣と同価値の貴金属としての値打ちを持ち、欧米では王室外交に銀器が多く用いられていた。ボンボニエールが引出物として出された儀式は、御誕生、御着袴、成年式、立太子、御結婚、大礼(御即位)、御結婚二十五年(銀婚式)を主とし、御在位の記念、海外御訪問の記念、長寿の御祝等である。その他、外国の皇族や大使との午餐にも出された。展示品7点のうち、明治天皇女子御慶事記念品3点には、何の折に下賜されたものかについて田中林太郎が記した書付がある。また、大正大礼大饗記念品、昭和天皇の立太子および成年式記念品の3点には、それぞれ宮内大臣波多野敬直から差し出された田中不二宛の饗宴招待状が残っている。