JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

アカデミック・アドベンチャー 2021

2021.04.01-2022.03.31

小・中学生の皆さまへ


 アカデミック・アドベンチャーでは、IMTボランティアの大学生が「インターメディエイト」(=媒介者)として、皆さんのアドベンチャーの案内役を務めます。IMTボランティアは、東京近郊のさまざまな大学に所属し、それぞれの専門分野の勉学や研究を行いながら、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」の活動をお手伝いしています。
 今年度は、昨年に続き、コロナ禍のなかで、オンライン版アカデミック・アドベンチャーの実験に取り組みました。そのアドベンチャーの内容や、活動を通じて私たちIMTボランティアがそれぞれ考えたことをご紹介いたします。

黄木あゆみ(東京大学教養学部教養学科超域文化科学分科比較文学比較芸術コース4年)
皆さんは、ミュージアムに足を運んだ時に、不思議なデザインのモノやどのように使われていたのか想像がつかないモノに出会ったことはありませんか。そのような時、展示解説を読むのもミュージアムの楽しみ方の一つですが、未知のことに想像を膨らませて自分なりに考えてみることができるのも、ミュージアムの醍醐味だと思います。私のアカデミック・アドベンチャーでは、特徴的な形をしたイランの古代土器を2つとりあげます。2つの土器には液体を注ぐ口がありますが、嘴のような部位をもっていたり、動物を象っていたりと、あまり実用的とは言えない形状をしています。なぜこのような形になっているのでしょうか。色々な角度からじっくり観察し、発掘された場所を手掛かりにして、当時の人がどのような用途で使っていたのかを一緒に考えていきましょう。

田嶋結乃(東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻修士2年)
「ミュージアムはどんな場所?」と聞かれたら、「昔のモノがたくさん置いてある場所」と答える人も多いのではないでしょうか。古いモノを見ながら、「昔の人はこれをどうやって使っているのだろう?」と想像を膨らませるのはとても楽しいことです。私のアカデミック・アドベンチャーでは、今から約100年前に作られた注射器に注目します。昔の注射器ため、皆さんが今病院で見ることができる注射器とは違うところもあります。オンラインでのアカデミック・アドベンチャーでは、まずは写真を見ながら、皆さんが知っている注射器とはどんなところが違うかに着目して観察していきます。そして、どうして古い形から今の形へと変わっていったのか、その理由を一緒に考えていきます。今まで考えたことがなかったモノの歴史に触れてみれば、身近なモノに対する見方もきっと変わってくるはずです。

土屋心(お茶の水女子大学比較社会文化学専攻歴史文化学コース修士2年)
皆さんはミュージアムを訪れて資料を見るとき、何を「見て」いるでしょうか。色や形でしょうか。それとも大きさや模様でしょうか。たしかに資料を細かいところまで観察することは楽しくて大切なことです。しかし、少し視点を変えて、その資料が過ごして来た時間を感じてみませんか。私のアカデミック・アドベンチャーでは、地球儀のもつ特徴を通じて、資料のエピソードや来歴について考えます。インターメディアテクのなかでも、特に印象的な大きな地球儀に注目してみましょう。よく観察してみると、普段自分が使っているものと異なる特徴がいくつも見つかります。では、なぜそのような特徴があるのでしょうか。その答えを地球儀の来歴に求め、インターメディアテクに展示されるに至ったエピソードを紐解いていくと、大きな歴史の流れに翻弄された地球儀の姿が浮かび上がってきます。ぜひ、資料の目に見える特徴だけではなく、その裏に隠されているエピソードにも注目して観察することで、新たな発見をしてみてください。

寺下知美(東京大学大学院農学生命科学研究科農業・資源経済学専攻修士2年)
ミュージアムに行こうと思う時、私たちはそこにどんな体験を期待しているのでしょう。動物たちの巨大な骨やずっと昔に描かれた絵画など、何か「特別なモノ」を見たいと思ってミュージアムを訪れることも多いと思います。インターメディアテクではこのような「特別なモノ」をたくさん見ることができる一方で、案外「身近なモノ」も標本として展示されています。私のアカデミック・アドベンチャーでは、そうした「身近なモノ」のひとつである岩塩に注目します。食料品店でも時折見かける岩塩ですが、食べ物として扱うのと、鉱物標本として観察するのとでは、対象と向き合う私たちの心持ちも少しばかり違ってくるように思います。赤色や青色にきらきらと輝く岩塩。その美しい色はどのようにして生まれるのでしょう。そもそも鉱物とは一体何なのでしょうか。モノを観察しながら、このような素朴な疑問と向き合う時間を通して、普段何気なく触れているモノをもっとよく知ることができれば、みなさんにとって身近な世界がさらに興味深く見えてくるにちがいありません。

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