JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

アカデミック・アドベンチャー 2020

2020.04.01-2021.03.31

小・中学生の皆さまへ

 アカデミック・アドベンチャーでは、IMTボランティアの大学生が「インターメディエイト」(=媒介者)として、皆さんのアドベンチャーの案内役を務めます。IMTボランティアは、東京近郊のさまざまな大学に所属し、それぞれの専門分野の勉学や研究を行いながら、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」の活動をお手伝いしています。
 今年度は、初めて経験するコロナ禍のなかで、オンライン版アカデミック・アドベンチャーの実験に取り組みました。そのアドベンチャーの内容や、活動を通じて私たちIMTボランティアがそれぞれ考えたことをご紹介いたします。

栢場美帆(東京大学教育学部総合教育科学科教育社会科学専修教育実践・政策学コース4年)
みなさんは、ミュージアムの展示物は一度展示室に置かれたらずっと展示されている、と思っていませんか。実は、展示物は、それについて調査・研究したり、傷まないよう保存したりするために、定期的に入れ替わっているのです。オンラインなら、今展示されているものもそうでないものも、写真を使って同時に見ることができます。私のアカデミック・アドベンチャーでは、同時に展示されていない石の標本である獅子頭と鉄平石を取り上げます。2つの石はどちらも、かつて原子爆弾の爆発による凄まじい熱を受け、特徴的な変化が引き起こされました。変化した部分を観察しつつ、これらの石が東京大学に残され、インターメディアテクに展示されていることの意味について考えていきます。

田嶋結乃(東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻修士1年)
私のアカデミック・アドベンチャーでは、目のつき方に注目しながらウサギの標本を観察していきます。みなさんは私たち人間とウサギでは目がついている場所が違うということを不思議に思ったことはありますか。目のつき方が変わると世界の見え方はどのように変わってくるのでしょうか。アドベンチャーでは、展示物の写真をじっくりと観察しながら、また私と一緒に実際に自分で体を動かしながら、自分が普段どのように世界を見ているかを確認してもらったり、ウサギの見ている世界を想像してもらったりします。ミュージアムを訪れることはできなくても、オンラインでアドベンチャーに参加するみなさんが一緒に体を動かす体験を共有して、ぜひこの「不思議」に触れてみてほしいと思います。

羽生彩香(東京学芸大学教育学部教育支援課程教育支援専攻生涯学習コース文化遺産教育サブコース・4年)
「モノ」にはたくさんの意味や歴史が隠されています。しかし、それらの学びの種は私たちが見ようとしなければ見過ごしてしまいがちです。普段の生活の中では、時間をかけて何か一つの「モノ」を観察する機会は案外少ないのではないでしょうか。私は、みなさんにとってアカデミック・アドベンチャーが展示物という「モノ」と向き合い、「どうして?」や「知りたい」が生まれるきっかけになればと思っています。ゆっくり、じっくり、よく見て観察すること。よく考えること。そして「モノ」が教えてくれる何かを発見すること。その楽しさは、オンラインでもオフラインでも変わらないと考えました。ぜひ皆さんも「モノ」に隠れた不思議を見つけ、ワクワクを感じてみてください。

野口由芽(明治学院大学文学部芸術学科4年)
展示物を見て様々な思いを巡らせ、考えるきっかけにしてほしい。考えることにワクワクしてほしい。アカデミック・アドベンチャーには、発信者となるインターメディエイトの思いがたくさん詰まっています。コロナ禍の状況のなか、オンライン上でもそのワクワクを届けることができないかと、初めてのオンライン版アカデミック・アドベンチャーを考えている私も、未知の体験にとてもワクワクしていました。オンライン上で展示物の「モノ」としての特徴や魅力が伝わるように、それを写したライブ映像や写真の見せ方、話し方など、何度も試行錯誤を重ねてきました。みなさんがアドベンチャーに実際に参加し、意見や感想を聞かせてくれることで私たちの実験が完成形に一歩ずつ近づいていきます。これを読んでくださっているあなたと画面越しにお会いし、一緒に実験できることを楽しみにしています。

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