JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

アカデミック・アドベンチャー 2018

2018.04.01-2019.03.31

小・中学生の皆さまへ

 アカデミック・アドベンチャーでは、IMTボランティアの大学生が「インターメディエイト」(=媒介者)として、皆さんのアドベンチャーの案内役を務めます。IMTボランティアは、東京近郊のさまざまな大学に所属し、それぞれの専門分野の勉学や研究を行いながら、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」の活動をお手伝いしています。
 私たちIMTボランティアがアドベンチャーの内容をご紹介いたします。

能繭子(学習院大学法学部政治学科4年)
インターメディアテクとは、新しいもの、古いもの、見たことがないもの、身近にあるもの、それら全てが並ぶミュージアムです。中でも自分が「面白い」「どうしてだろう」と感じた展示物を皆さんと一緒に観察し、対話の中で新しい発見をする面白さを伝えたいと私は考えています。私のアカデミック・アドベンチャーではタイプライターを取り上げています。パソコンが流通している現在では、一般にはほとんど使われず骨董品のように扱われている機械ですが、170年前は画期的な発明として人々に受け入れられていました。タイプライターがどのような理由で発明され、当時どのように使われていたか、そしてどうして衰退していったのかを、皆さんとともに観察の中で紐解いていきたいと思います。

栢場美帆(東京大学文科一類2年)
インターメディアテクには多様な展示物があります。東京大学が学術研究のために収集してきたこれらは、ひとつひとつ眺めるだけでも非常に面白く、どれも興味を引くものばかりです。これらの展示物は私たちの生活しているこの世界について考えるきっかけを与えてくれます。私のアカデミック・アドベンチャーでは「零円札」という展示物を取り上げます。零円札を見たことがありますか。零円札と私たちが普段使っている紙幣とを比べると、特異な点が多く見つかります。このアドベンチャーでは、そのような零円札の面白さを皆さんと共有し、かつての貨幣の話も交えつつ、ただの紙切れがなぜ、例えば1万円の価値をもつのかを考えていきます。自分たちの「当たり前」が成り立つ仕組みを見つめ、「当たり前」について少し考えてみるきっかけにしてほしいです。

増井周造(東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻 博士1年)
僕がアカデミック・アドベンチャーを通じて伝えたいことは、「なぜ?」と考えることの楽しさです。インターメディアテクには、青色に輝く蝶、平たいサンゴ、人よりも大きな葉っぱなど、珍しい展示物がたくさんあります。もちろん、見ているだけでも色々な発見があるかもしれません。しかし、それらは当たり前にその色、姿、形をしているのではありません。そこで、「何でこうなんだろう?」と考えてみると、パッと見ただけでは思いもよらないような不思議が隠れています。僕のアドベンチャーでは、キリンや様々な鳥類の「首の骨」の数を数えてもらいます。まず、実際に骨格標本を前にして数えるということが、博物館ならではの醍醐味であり、図鑑や教科書で見るのとは大きく違う体験になると思います。そして、実際に数えてみると骨の数に隠された生物の長い歴史や、なぜそうなのかといった不思議を知ることができます。

濱野夏帆(青山学院大学青山学院大学文学部比較芸術学科4年)
私がアカデミック・アドベンチャーで大切にするのは「想像を恐れないこと」です。例えば私がアドベンチャーで取り上げる仮面は、一見私たちの日常から遠く離れたアフリカの地で作られたものですが、その仮面に込められた想いや制作された背景を紐解いていくと、私たちが日頃考えることや、出会う状況との共通点が見つかります。仮面をはじめとする文化は人が作り出したもので、人の想像力無くしてはそれが存在する理由を紐解くことができません。そこで私は皆さんにできる限りたくさん想像し、想像したことを私や他の人に教えてほしいと思っています。私や皆さんが一人では見つけられないことも、一緒に考えて話すことで見えたり、新たに思い付いたりすることもたくさんあるでしょう。どんなに大きな発見も、ほんの少しの想像力からはじまります。眼の前の展示を見ながら、自由に想像してたくさん話してください。私と皆さんとでその瞬間にしか味わえないアドベンチャーがはじまります。

渡部裕介(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 博士2年)
私のアカデミック・アドベンチャーでは、東京大学で研究に使われていた6つの天秤ばかりを鑑賞します。現在、重さの単位は「キログラム」にある程度統一されていますが、欧米の「ポンド」や東アジアの「貫」など、時代や地域によって様々な重さの単位があったことを踏まえると、人間は昔から「重さを量る」という行為をしてきたと考えられます。では、我々人間はなぜ重さを量るのでしょうか。私たちも普段何気なく体重計に乗り、料理の際に食材や調味料の重さを量っています。皆さんはその意味について深く考えたことはありますか。インターメディアテクの展示を私と一緒に観察しながら、日常ではあまり着目しない事柄について、皆さんに考えを巡らせてみてほしいと思います。




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