JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

アカデミック・アドベンチャー 2014

2014.04.01-2015.03.31

小・中学生の皆さまへ

 アカデミック・アドベンチャーでは、IMTボランティアの大学生が「インターメディエイト」(=媒介者)として、皆さんのアドベンチャーの案内役を務めます。IMTボランティアは、東京近郊のさまざまな大学に所属し、それぞれの専門分野の勉学や研究を行いながら、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」の活動をお手伝いしています。
 私たちIMTボランティアがアドベンチャーの内容をご紹介いたします。


鏡味瑞代(早稲田大学文化構想学部 表象・メディア論系 4年)
私は動物の骨や標本についてのアカデミック・アドベンチャーを行っています。特別展示『マリリンとアインシュタイン――神話的イコンに捧げる讃歌』の開催期間中(2014年6月7日—10月5日)は、そのなかの展示物も取り上げて紹介しています。このアドベンチャーを通して、みなさんに普段の自分たちとインターメディアテクにある様々な展示物とを「比べて」もらい、そして、そこから見えてくる発見したこと、気付いたことを大事にしてもらえればと思っています。私たちの骨と動物の骨はどこが違うのか。眼のついている位置もウサギと私たちでは違います。いまの時代と私たちのおじいちゃんやおばあちゃんが若かったころの時代には、どんな違いがあったのか。インターメディアテクで比べることができるのは骨だけではありません。時代や文化も比べることのできる貴重な資料がたくさんあります。アカデミック・アドベンチャーを通して、私もみなさんと共にたくさんの発見をしていきたいと思っています。

竹川風花(女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域 3年)
ウサギもキツネもヒトもウマもみんな違った姿をしています。これはそれぞれが体を進化させてきた結果です。しかし、同じ生き物であり、ほ乳類であるにもかかわらず、どうしてこんなにも違う姿をしているのでしょうか。私は、ほ乳類の中でもウサギ、キツネ、そして私たちヒトを中心に、「眼」という体の部分をとりあげてアカデミック・アドベンチャーを行っています。それぞれの生き物の「眼」に潜む物語を紐解くことで、その動物が生きていく上で自分の体に何を求めて進化してきたのかがわかります。それは、ヒトの眼だけでなく、他の体の部分にも言えることです。例えば、ヒトのまゆ毛はなぜ眼の上の一部に生えているのでしょうか。ヒト以外の動物でまゆ毛の生えている生き物はいません。これはヒトにはまゆ毛が生える必要があるからなのです。その答え、そしてウサギとキツネの眼に潜む様々な物語をみなさんと一緒に紐解いていきたいと思っています。

山本桃子(早稲田大学教育学研究科学校教育専攻 修士2年)
私のアカデミック・アドベンチャーのテーマは「価値観を揺さぶる」です。普段何気なく使っている日用品が博物館の展示ケースの中に閉じ込められた瞬間に、「展示物」として来館者にメッセージを伝え始めます。河原に転がっている石も、陳列されて他の鉱物と比較されることによって、私たちが散歩の途中で目にする石と物理的には同じものでありながら、全く違った視点を与えてくれるのです。例えば、どのようにして、どのような場所で出来たのかなどを考えるきっかけとなります。私のアドベンチャーでは、そんな「普段と違う見え方」のヒントを提案しながら、みなさんのものの見方を少しだけ変えてみせるお手伝いをしています。「今まで気にならなかったことが気になる」という変化だけでなく、動物の標本や骨格標本などを間近で観察することで、「わかっていたけれどわかっていなかった」という自分の認識のズレを微調整する、これも私のアカデミック・アドベンチャーの目指すところです。体験者にひとつでも多く「?」「!」という「学びのタネ」を持ち帰ってもらうべく、日々精進しています。

坂井景(東京大学法学部第3類 4年)
私は、次の2つのポイントを大事にしながら、皆さんとインターメディアテクのアドベンチャーに出かけたいと考えています。1つめは、目の前にあるモノを最大限活かすこと。アカデミックアドベンチャーで出会う展示物には、皆さんが既に知っているモノも、名前すら耳にしたことがないモノもあるでしょう。しかし、特別な知識がなくとも心配はありません。この冒険で出会うモノに対しては、その瞬間にじっくり観察して、その瞬間に学んでいってほしいと思うからです。目だけではなく手も動かして、時には友達と協力しながら楽しんでいきましょう。2つめは、目の前にないモノも忘れないこと。例えば、一口に「人間と大きく違った生き方をする動物」といっても、世界には無数の動物が存在します。そして、そういう動物を知ることは、私たち人間に関するより深い理解につながるはずです。例えば、サンゴは、人間とは一見全く違うように見えて、姿・形や生き方から私たちとの共通点を発見することができます。さまざまな「発見」を探しに、みなさんと一緒に冒険に出かけられる日を心待ちにしています。

横山喜己(武蔵野美術大学造形学部日本画学科 3年)
普段私たちは身近に在るものに対して、無意識の「あたりまえ」で思考をやめてしまっています。アカデミック・アドベンチャーでの「なるほど!」「へえ!」と思ってもらえるような知識や観察のポイントを通じて、今まで皆さんが目を向けなかったことに対する探究心をくすぐることができたらと考えています。私のアドベンチャーは、人間と動物の共通点を手がかりに、目の前の展示物に関心をもってもらうところから始まります。たとえば、ウシの角の外側と私たち人間の爪は同じ成分でできています。人間の爪は、指のいちばん先には骨がないため、骨の代わりに外側から指を支える役割をもっています。では、同じ成分の牛の角も人間の爪のように無くてはならないものなのでしょうか。その成分は他の生き物にも共通するものなのでしょうか。観察と問いかけによって、次なる「どうして?」を育てるきっかけを作りたいと考えています。インターメディアテクは、たくさんの想像力や好奇心を与えてくれます。それをよりいっそう楽しみながら展示をまわることができるようお手伝いし、時には一緒に学んでいこうと思っています。

矢野香純(京都造形芸術大学通信教育部芸術学部芸術学科芸術学コース 2年)
「鉱物(コウブツ)」というとなんだか難しそうですが、実は皆さんの身近なところにあります。氷や塩のかたまり、石ころなどが仲間です。現在4700種類ほど確認されており、毎年50種類以上の新しい鉱物が発見され、増え続けています。今まさにどこかで見つかっているかもしれません。私は皆さんに、鉱物の仲間のひとつである水晶のお話をします。鉱物や水晶について、どんなことが思いつくでしょう。色や形、見つかる場所など、人それぞれ違うことを考えるかもしれません。アカデミック・アドベンチャーでは、目の前の実物を観察し、皆でいろいろなことを発見していくことができます。同じ水晶を見ながら、皆と一緒に新しいことを知ったり、誰かの意見で何かに気付かされたりする体験を通じて、皆さんも私もものの見方や考え方が変わっていくかもしれません。どんな小さなことでも自分自身で気になった発見をもち帰り、どうしてそこに興味が湧いたのかを探ってみましょう。私のアドベンチャーでは、そのような自分と向き合うきっかけづくりをしたいと思います。

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