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RESEARCHERS COLUMN

三宅秀宛書簡集成(3)――実業家・益田孝(1848-1938)

 三井物産初代社長で、三池炭鉱社の設立など実業家として活躍した益田孝から三宅秀へ宛てた昭和4年(1929)5月14日付の書簡である。冒頭「旧知の友であるあなた様に一書を差し上げるのは、光栄のみならず、歓喜に他なりません」と始まり、三宅の写真を見て、「昔(65年前)と変らない御容顔のまま御健勝でいらっしゃるのを知り、慶賀の念を禁じえず、一書を差し上げました」と書簡を認めた理由が述べられている。大仰ともいえる書き出しであるが、実は益田と三宅は65年前の1864年、幕府が派遣した遣欧使節団の随員として同船していた。益田は父で外国奉行支配定役元締益田鷹之助の従者、三宅は外国奉行田辺太一の従者であった。二人とも嘉永元年(1848)生まれで、当時16歳と最年少であった。書簡には昔を思い出すたびに、一度会いたいと思っていたとある。二人の歩んだ道は違ったが、互いに80歳を迎えた旧来の知己の長寿を知り、再会の念を強く持ったことであろう。この二人、奇しくも没年も同じである。

白石愛(東京大学総合研究博物館特任助教)

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