JP Tower Museum INTERMEDIATHEQUE
HAGAKI
RESEARCHERS COLUMN

再び、君の名は

 特別展示『Aves Japonicae5 〜色彩の迷宮〜』が開催中である。今回は河辺華挙による「鳥類写生図」の他に、作者未詳の「鳥類真画」を展示に加えることにした。この絵画の特徴は、とにかく「フカワリ」すなわち色彩変異にこだわって記録されていることである。現代の鳥類学的な興味というよりも、変わり朝顔や金魚、あるいはチャボの変種を楽しむような雰囲気が伝わって来る。ところが、肝心の鳥の種類がわからないのだ。例えば「ツグミフカワリ」とあるのは、作者はツグミの色彩変異だと思っている。しかし、単色で描かれた背と翼、黒い頭、赤っぽい腹は、あきらかにツグミではない。赤い腹を素直に解釈すればアカハラで、多少、赤に誇張があるとすれば、脇腹にやや橙色味のあるシロハラかもしれない。どちらも頭が黒っぽい変異もあるのだ。さらに言えば、頭が明確に黒いアカコッコの可能性さえある。アカコッコは伊豆諸島に行かないといないから、知らなくても不思議はない。さあ、この「フカワリ」は誰だ。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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